LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略
著者:リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット
あらすじ
☆100年ライフ
・100年以上生きる時代をどう過ごすべきか?
これまで多くの人は「教育→仕事→引退」という3ステージの人生を歩んできた。寿命が延びれば、70代80代まで働くことが当たり前となっていく。
仕事のステージの長期化に伴い、ステージの移行を数多く経験する「マルチステージ」の人生に突入する。
必要となるのは、画一的な生き方にとらわれず生涯「変身」を続ける覚悟。
キャリアの選択肢だけでなく、パートナーシップの在り方も問い直される
.夫婦2人とも職を持つ家庭が増え、いずれかがステージを移行する際に互いの役割を柔軟に調整し、サポートし合うことが求められる。
多くの移行を経験することになる時代では、「何を大切に生き、何を人生の土台にしたいのか」という問いに向き合う必要がある。
自己のアイデンティティを主体的に築きながら、人生をどのように計画するかを考えていく。
・長寿という贈り物・機械化・AI後の雇用の未来
長寿化に伴い、老後の生活資金をどうするかという問題がある。貯蓄率を高めるか、より高齢になるまで働くか、その両方か。
新しいテクノロジーが労働市場を激変させていくことは明らかである。
人々が精力的かつ創造的に生きるための新しい人生のシナリオを考える。
☆見えない資産
・有形・無形の資産のバランスをとる
無形の資産は、それ自体が有意義な人生に不可欠であるだけでなく、有形の金銭的資産の形成を助けてくれる。バランスをとって相乗効果を狙う。
①生産性資産
生産性や所得、キャリアの見通しを向上させるのに役立つ資産
・長年培ってきたスキルや知識
キャリアの初期に身につけた専門技能だけでなく、生涯を通じて、複数のスキルと専門技能を獲得し続けることが重要。
身につけておきたいスキルや知識は、情熱を注げることが前提で、経済的な価値が生み出せて、希少性があり模範困難であるもの。
ex) イノベーションを生む力、創造性
意思決定やチームのモチベーション向上といった人間ならではのスキルと共感能力
思考の柔軟性や敏捷性といった汎用スキル
・仲間の存在
高い信頼性をもつ職業上のネットワークは、互いの成長やイノベーションの促進に役立つ。ときにコーチや支援者となってくれたり、必要な人脈を紹介したりしてくれる。
・評判
良い評判を得ていれば、高い能力があるのではないかと期待されやすく、守備範囲を広げやすい。ただ、時間を費やさなければならないものであり、自分でコントロールできない。幅広い範囲で自分の評判を管理することが求められる。
②活力資産
人に幸福感をもたらし、やる気をかきたてる資産
ex)
・肉体的・精神的健康や友人や家族との良好な関係
健康であること、明晰で健康な脳を保つことは、大きな意味をもつ。
・ストレスを引き起こす要因をうまく管理する
職場と家庭のバランスを取り、両者での前向きな感情が伝播し合って効果を出す。
・自己再生のコミュニティ
友情を長続きさせる、深める人は高齢になってもエネルギッシュで前向きである。
③変身資産
人生の途中で変化と新しいステージへの移行を成功させる意思と能力のこと。
移行につきものの不確実性への対処能力を促す要素。
1.自分について良く知っていること
自分の過去・現在・未来について内省し続けることで、変化を経験しながらもアイデンティティと自分らしさを保ちやすくなる。
2.多様性に富んだネットワークをもっていること
昔からネットワークは同質性が高いため変化を促すよりも、同質を後押しする新しい視点を得て、変身を遂げていくには、大規模で多様性に富んだネットワークに接することが欠かせない。
3.新しい経験に対して開かれた姿勢を持っていること
変身の過程で既存の行動パターンが脅かされるときに、新しいやり方を実験し需要する姿勢を持つ。
新しい生き方を探索し、適応することができるようになる。型にはまった行動を打破する「ルーチン・バスティング」が必要となる。
これらの3つの「見えない資産」に投資を続け、自らを再創造(リ・クリエーション)することが充実した100年ライフを送るためのカギになる。
☆新しいステージ
・若々しさを加速させる「選択肢の多様化」
マルチステージでは、年齢とステージが一致しないことが増えていく。
「若さと柔軟性」「遊びと即興」「未知の活動に対する前向きな姿勢」が重要。
・新しい3つのステージ
1.エクスプローラー(探検者)
1か所に腰を落ち着けることなく、身軽に探検と旅を続け、幅広い針路を検討する。多様な人たちの苦悩や喜びを自分ごとのように考える「るつぼの経験」が組み込まれていることが望ましい。
他の人生の物語に触れることで、自分の人生の価値観が揺さぶられ、アイデンティティについて熟考できる。
2.インデペンデント・プロデューサー(独立生産者)
組織に属さずに、自由と柔軟性を重視して小さなビジネスを起こす。事業活動自体を目的としており、試行錯誤しながら未来を提案する「プロトタイピング」を通じて学習を深めていく。
このステージでは安心して失敗できる。都市部の創造性の集積地に集まって、みんなで協働する精神を重視する。
3.ポートフォリオ・ワーカー
異なる種類の仕事や活動に同時並行で携わる。
すでにスキルや人的ネットワークの土台を築いている人たちが、この生き方を魅力に感じる。このステージにうまく移行するには、フルタイムの職についているうちに、小規模なプロジェクトで実験をはじめ、汎用的スキルやしゃがいの ネットワークといった変形資産をはぐくむことが望ましい。
・移行期間と社会制度の変化
今後はステージ間の移行回数が増えていくため、移行期間に向けた事前準備が欠かせない。移行期間中は主に、活力資産と生産性資産への投資が行われるが、金銭的資産が減ることは避けられない。
読んだ感想
昨年の秋ごろに、知り合いにこの本を教えてもらって、概要をざっくり聞いただけでおもしろそうだなと思い読んでみた。ただ職場と家の往復の日々を送っていてはいけないなと強く思うようになり(週1で囲碁教室は通っているが)、もっと本を読んだり、競技プログラミングの勉強をしたり、頭を使って時間を有効に使ってできることからやってみることにした。新課程になり、数学も情報も授業の教材研究をこれまで以上に行う必要があるし、囲碁のレベルも上げたいと考え、仕事後に家に帰ってからの時間をどのように作ろうか考えた。TVドラマを見る時間を減らし、1クールに多くて2つまでにした。
余暇の時間は、ただレクレーションをして時間を過ごすだけでなく、リ・クリエーションで何かを創造する、自分への投資として時間を使うべきだと知ってから意識して行動するようにしている。早寝早起きの生活リズムであるため、夜遅くまで何かに取り組むことは難しいが、その分早起きして朝できることを考えて生活している。時間が1日24時間なのは変えられないから、自分の中の何かを犠牲にして時間を作っていくことで自分を変えていく。
この本を読んでから、将来への意識が大きく変わった。将来のために、今のうちにやっておくべきことを考える時間がとても増えた。考えたらどんどん実行、実践していきたい。