Actions speak louder than words.

行動は言葉よりも雄弁

【読書記録】あえて数字からおりる働き方(序章・第1章)

あえて数字からおりる働き方

個人がつながる時代の生存戦略

GIVEと感謝が最大の自己投資

著者:尾原和啓

 

あらすじ(序章・第1章)

<序章>「組織から個人」の時代に必要なこと

①会社がベースではなく「個人」が主体に働く時代になってきた

企業を主体としなくても、個人が寄り集まってサービスを展開したり、仕事をしたりできるようになったのが今の時代の大きな流れ。

どこに変化が起こるかわからないときは、ゆるやかに遠くのものに分散することで、どこかが沈んでもどこかが生き残れる。

企業の寿命が個人の寿命より短くなった。「良い企業に勤めていれば死ぬまで安泰」は成り立たない。少なくとも国や企業が個人の人生を保証したり、決めてくれる時代は終わった。

これからは、肩書きよりも中身を重視する時代になる。スキルがって人の役に立つというだけでは、AIやかいがいの サービスに置き換わる。「一緒に仕事がしたい」と思ってもらえる人材であることが望ましい。誰にとって意味のある存在ですか?

ギブしてくれた心地良さや信頼に対して人はお金を出す。これからは経験そのものが必要になる。より多くの実践をこなしてきた人材が信頼される。

★自分自身が提供できる意味を考えよう

 

②互助、共助の「ギブ」をベースに

自助(自分のことは自分でまかなう)

互助(余力で相手を助ける)

共助(みんなで助け合う)

これからの時代は「互助ー共助のつながり」をいかに個人が作っていけるか。

★支え合える集団の輪をつくれるよう意識する

 

③世界で自由に働き、結果を出している人の「共通点」

ギブによって積み重ねた信頼の輪の中で、加速度的に成長している。

あなたは人を信じる方?それともまずは疑う方?

変化の時代ではスピードが命。人を疑って確認をとっているうちに、同じことを考えている人に先を越されてしまう。

日本人は相手を信頼するのが下手。自分が苦労して得た知識やノウハウを自分だけのものにしたいという人が多い。自分を守るために壁を作って、その中にみんなに有益な情報や知識を囲い込んでしまう。そのせいで、自分の1番強いところで誰かと組むことができない。「他にない自分」として生きていくことができない。

基本的に信用すると決めた相手には、日々細かなギブを重ねることで相手の好みや今穂状況を把握する。特に相手が何かアイデアを話してくれたら、それを素直に受け入れて、それについて知っていることを無条件にギブする。こちらが壁を作らなければ、相手も心を開いてくれる。信用してギブしてしまう方が勝ち。

日頃から、「こんな人を紹介するよ」「この本おすすめだよ」というように相手の好みの視点に立ったギブをしあうことでお互いへの信頼度がどんどん高まる。いざ大きな仕事や機械が巡ってきたときに声をかけてくれる。

やりたいことに合う、好みを知ってくれているという信頼関係があるからパスがくる。きちんとした信頼関係が築けてくると、不安がなくなり、コミュニケーションが簡略化されていくのでコストがかからず、ノールックパスができるようになる。

ギブから始めて相手を信頼することによって、自分の周りでどんどん化学反応が増えて、自分の可能性が広がる。

★信頼から自分の可能性を広げる

 

<第1章>「ギブ」を仕事の基本にする

①なぜギブが大事なのか

与える行為=ギブ には2種類ある

1.自分の内側にある力で、人にありがたいと思われること

2.相手の視点に立って、自分の外側にあるモノに自分の思いを乗せてギブすること

1は、自分の持っている知識や技能で「ありがとう」と言われること

2は、「あの人はきっとこれが必要だろうな」と考えてそれをギブすること

「自分の外側」とは、自分にはないアイデアのこと。自分にはない視点を獲得していく。相手が必ず喜ぶものであっても、あなたの想いやストーリーが添えられていないと意味がない。相手視点に立つギブは、普段しないことをして、自分を変化させる。

あの人が喜びそうなものを探し、この人が喜びそうなものを探して気づいたら遠く知らない国に来て、自分はこんなに変化していました、という成長の旅をする。

「自分の考え」をもとに動くと「自分の考え」にとどまったままで成長できないが、「相手の視点・考え」からはじめると信頼関係が作れる。

目の前の誰かにとっての「何者か」になることを何通りも繰り返すことによって、「みんなにとっての何者か」になれる。

何者かになること≠数を追うこと

★相手の視点に立ってギブを渡そう

 

②プレゼントが上手い人は誰からもモテる

相手が何を必要としているかを理解する。

相手の好み、生活、今必要としていそうなもの、普段なかなか手に入らないもの、を考えて送る。どのようなフィードバックが返ってくるかによって、相手の視点がよりクリアになり情報が強化される。

一緒に街を歩きながら、相手が何に反応するのかに注目する。どんなニュースメディアを見ているのか、どんなトピックに関心があるのか、どんなレストランでどんな料理を頼むのか、などを見て、相手の考え方、相手が学ぼうとしているものを情報として学ぶ。そして自分なりに「きっとこういうことが知りたいのだな」と感じたことを相手にギブしていく。

相手から返ってくる反応によってより深く相手のことがわかる。相手を喜ばせるための情報収集は普段の会話の中でも、相手の未来に対する課題意識や、現時点での関心事を知ることができる。

いろいろな話題がある中で、どの領域で相手がどう反応するかを細かく見る。人は関心があるときにぐっと前に身を乗り出し、興味がないと背もたれに深く寄りかかることがある。笑顔かどうか、うなずきが多いか少ないか、相槌があるかないかに注視して、相手が何に価値を感じるのか見る。

相手が喜ぶ価値観のツボを把握したうえで「きっとこういうことが知りたいのだな」と感じたことを相手にギブしていく。

相手の傾向がわかれば、ギブする際のベストな伝え方もわかる。「ギブ」しながらも自分はその相手の「視座」を身につけていく。

★相手の傾向を観察する

 

③ギブで得た視点こそが、あなたの最大の資源になる

常に学び続けることが不可欠。常に自分の資源「他の人にはない着想」を豊かにしていく必要がある。

大人になっても鍛えられる「地頭の良さ」は、

1.常に物事を先入観や偏見で見ず、前提条件を疑い、ゼロベースで捉える

2.その上で、「これはどうしてだろう?」と疑問を持ち、ひたすらぐるぐると考え続けている。

帰納法(たくさんの事実から1つの真理を浮かび上がらせる)の思考で仮説を立てたら、仮説が正しいかの検証は必要となる。

日本の教育は演繹法タイプ(先に原理があってそれを世の中に適応させていく)。

これまでの「問いに対する答えがわかっている時代」では演繹法が強く、ひたすら公式を覚えて解答をどんどん出す力を拡大していくことが求められた。日本人は帰納法の訓練が足りていない。しかし、帰納法で膨大な情報収集をしていたら時代の変化に間に合わない。

演繹思考とは「問題はこのようにして解かねばならない」という制約条件に縛られた思い込み。これをどうやって論理的に外していくかがラテラルシンキング的(前提条件をはじめから取り払い、ゼロから多角的な視点で思考する方法)な考え方。

多くの人が演繹的思考に陥っている隙にラテラルシンキングで地頭力を鍛える。

ロジカルシンキングは、課題を論理的に分解して考えていくもの。

これからは、演繹と帰納のちょうど中間にあるアブダクションの考え方が求められる。少数のデータから帰納法で特徴の仮説を出し、その仮説に基づいて、小さな演繹法で他の異なるグループに転用することで仮説を検証する。変化の時代に合った高速なループを回すことが大事。

メモを取ることは、帰納法の訓練になる。言葉は目の前で見た現象より、情報量が落ち、抽象化される。今日一日の日記をキャッチコピーにしてまとめる習慣をつける。

「ギブ」が最も小さなアブダクション

相手に関する数少ない情報の中から、相手が今何に興味があって、どんな未来を見ているかを推測、類推し、少しだけ先回りして行動することが「アブダクション」。

自分が関わるプロジェクトを進めていくとき、「きっと楽しんで関わってくれるだろうな」と思い浮かんだ人に連絡をして参加を呼び掛ける。

「ちょうどこういうビジネスをやってみたいと考えていた」と返答が来るのか、「今はこういうビジネスより、国内のプロジェクトに集中しているんだ」と返答が来るのかで、少なくとも相手が今どんな未来を見据えているのかを察することができる。

さらに、「システム系専門の~さんならどうとらえるだろうか?」「教育系に明るい~さんならどういう反応をするだろう?」と分野を広げると、それぞれの分野の人たちがどう見ているかを知り、時代の流れやビジネスとして打つ手が見える。

着想は自分から遠いものに恋することで生まれる。自分からより遠いものを掛け合わせることが重要。

相手に喜ばれることで関係性が生まれ、その関係性の中で新たに相手の視野視座に立って見直してさらに相手が喜ぶことをギブする。するとまた反応が返ってきて、情報が微調整されていく。やがて、自分の中に相手の視野視座がインストールされて、街を歩いているだけで、相手の好きそうな情報やアイテムまでも目に付くようになる。これをエンドレスでぐるぐる回していくと、いくつもの視野視座が持てる。それを掛け合わせて生み出す方程式を強化する。

ギブし続けることで、他の人の気持ちや立場からものを見られるようになってくるので、コミュニケーションの交通整理ができるようになる。

ほとんどの人は自分のこだわりを自覚していないので、自分の希望を上手く言語化できず、そのまま議論を進めてしまう。お互いの話の要点が伝わらずにモヤモヤする。相手のこだわりを見つけて、~さんはこうしたいんですよね、と言語化してあげられるようになると、自分自身もまた新たな視座が加えられる。

★「誰かの視点」を学ぶことで、出せるアイデアの幅が広がる

 

④「与える人が1番学べる」高速学習法

学習とは相手にギブすること。「相手の視点を知る」ことがすぐに役立ち、自分にも返ってくる大きな学び。情報収集の基本は「後で誰かに教える(アウトプット)のつもりで聞く(インプット)」。「今、自分が知りたい情報は何か」を自分に問いかけ、意識的に収集する。

4つの問いかけ I R E E

1.それはおもしろいか? Interesting

自分にとっておもしろいか、興味をもてるか。

2.それは意味を成しているか? Relevant

自分に関係があることか。

3.夢中になれるか? Engaging

ひきつけられるか。自分が夢中になって踊れるものなら、他者も巻き込める。

4.人々がエンパワーされているか? Empowered

力を与えてくれるか。人生を楽にしてくれるものか。

人に情報を提供することによって「この人がこの情報に返事をくれたということは何か引っかかるものがあったのかな?」と推測できる。

返事をくれないときは、「この人は、この領域に今は関心がない」という情報が得られる。

★情報はギブすればするほど得になる

 

⑤「いい質問」は相手にも自分にもギブになる

質問は1番得をする情報収集ツール。じぶんを 印象付けることができる。「今、自分はこんな状況だからこんなことを考えているが、これについて聞きたい。」と質問することで、自分はこれに興味がある人間です、とアピールになる。

★質問には自分ならではの視点をのせる

 

⑥そもそも手をあげる自信がない人へ

ここにいる自分だからこそ、異性や異なる年代、地域の人にはわからない視点や視座がある。唯一無二の価値があることに自信をもつ。

自分の価値を知るための旅に出る。地元の価値を知るためには、1度外の世界に出て、違いを知る。旅をしたら近所のスーパーへ行く。少しでも地元の生活習慣に触れる。品揃えや価格から現地の生活や習慣がよく見える。

本やDVDを見て、一旦自分なりの感想がまとまったら、インターネットで他の人の意見や視座を調べる。カスタマーレビューなどで自分と反対の評価をしている人のレビューにも目を通す。

★自分にとっての当たり前こそ、居場所を変えれば誰かの「ありがとう」になる

 

⑦気づきを促す高速学習

変化時代において大切なのは、新しい気づき・新しい視点を得ること。

★アイデアの可視化でメンバー全員の視野を増やす

 

 

読んだ感想

結構自分で得た知識や技術は自分だけのものにしておくという傾向にあったなと気づいた。こういう本を読んで、もっと自分から周りにギブしていくことで自分の成長につながると納得できてから、自分が得たものは他の人に伝えていくアウトプットが大事だと思って実践している。

久しぶりに本を読んだときのまとめを読み返して、良いなと思ったのに忘れていることが相変らず多いから、何回も読み返そうと思う。やはり受け身なだけでは定着しないことがよくわかる。知ったことは誰かに歌えて教えていくことで、自分のものになっていくからこれもやっていきたい。

相手の視野視座を自分の中に取り入れられるまで、相手に質問していないなとも気づいた。もっと考えて、何を知りたいのか聞いて理解につなげないと、いつまでたってもその人のことはわからないまま。

地頭を鍛えるには、やはりサボり気味な、まわりのものごとに関心をもってなぜなのか考えて頭を使うこと。人と話すことのメリットは多い。自分を知ることにもなるし、相手を知ることにもなる。問題はどんな質問をするか。

 

長かったので2回に分けた。後半はこちら。

reason-blue.hatenablog.com