内容
ある村にデポラという名前の美しい娘がいました。デポラは裕福な家庭で育ち、トーラー(ユダヤ教の聖書)をしっかり学んでいました。
年頃になったデポラは両親が選んだある青年と結婚することになりました。しかし、結婚式当日の夜に新郎が突然死んでしまったのです。
それから何年か経ち、デポラはまた親が選んだ相手と結婚することになりました。しかし、またも結婚式当日の夜に新郎が亡くなってしまいました。
さらになんと3度目の結婚式でも新郎が結婚式当日の夜に亡くなってしまったのです。
デポラは結婚を諦めかけました。その後しばらくして遠い村から親戚の息子が来て、「デポラをお嫁さんにしたい」と言ってきました。デポラの両親は彼をとても気に入っていましたが、過去に3度も新郎が亡くなっている事実を話し、何とか彼を思いとどまらせようとしました。
しかし彼は、「私は神様に対して誠実で気に入られています。そんなことはきっと起こらないので大丈夫です!」と両親を説得し、デポラと結婚することになりました。
神様は結婚式当日新郎を天国へ連れていくため、天使を地上に降ろしました。死の天使は新郎に一緒に天国へ旅立つように言いましたが、そこに待ち構えていたデポラが割って入りました。「あなたが今まで私の新郎を奪っていった死の天使ね。天に戻って神様に伝えなさい!」と大声でデポラが死の天使にこう言い放ちました。
さて、デポラはこのあと、何を神様に伝えなさいと言ったのか、考えてみましょう。
あなたなら、新郎を天国に連れていかれないために、神様をどう説得しますか?
デポラ「トーラーによると、男性は結婚したら花嫁と一緒にいるべきだと書いてあります。よって神様は私の花婿を天国に連れていくことができません。」
天使「なんと!お前は神の決定に異議を唱えるのか!」
デポラ「そうです。トーラーには、男性は結婚したら仕事より家庭を大事にして、妻と一緒にいなさい、と書いてあります。それなのに結婚式の夜に私の夫を天国へ連れていくのは、この教えに違反します。トーラーは神様が作ったものではないのですか?神様は自分が作った教えを踏みにじるのですか?それなら私は神様を被告として宗教裁判所に訴えます!」
デポラは一気にこう言い放って死の天使をにらみつけました。驚いた天使は慌てて天国に戻り、神様に相談しました。
天使「デポラは神様を法廷に引きずり出すと言っています!どうしましょう?」
神様「うーむ、まいった。・・・デポラのところにはもう行かなくてよい!他の娘のところへ行け!」
こうして、デポラは愛する夫を死の天使から取り戻し、末永く幸せに暮らしました。
日頃から議論の勉強をせよ
不当な扱いを受けたら、相手が誰であっても立ち向かう勇気をもとう。
正々堂々と相手を論破するためには、根拠をもって話せるようにまずはしっかり学び、準備する。
どんな強大な相手でも、権力者相手でも戦う術を見出せば勝つことができる。
理不尽なことがあっても感情だけで話すのではなく、根拠をもって指摘する。
この、感情的に怒るのではなく、理論で、根拠をもって冷静に話すという技が今のところ人生の大きな決断をするときに一番役に立った。