Actions speak louder than words.

行動は言葉よりも雄弁

【タルムード】2人の泥棒

内容

ある日、煙突から居間に2人の泥棒が入ってきた。1人の顔にはすすがついていて真っ黒だった。もう1人の泥棒には全然すすがついていなくて真っ白だった。さて、どちらの泥棒が顔を洗うだろうか?

 

あるとき、農夫がユダヤ教のラビのところへ行き、「私にタルムードを教えてください。」とお願いした。するとラビは、「お前にわかるわけがない。」と突き放した。農夫が「何とか教えてください。」と懇願するので、ラビは「よし、わかった。」とこの質問を行った。

すると、農夫は、「汚れている方が顔を洗うに決まっていますよ。」と答えた。「だからタルムードをお前に教えるのは無理だ。それは間違いだ。」とラビが応じた。

「それは一体どういうことですか?」と農夫が再び聞き返した。ラビは「つまり、物事には次元の違うがあるということだ。」と言うと、農夫は「もう一度、よく考えてから来ます。」と言って帰った。

翌日またラビのところに農夫がやってきた。「先生、わかりました。すすのついていない方が顔を洗うのですね。自分の顔は見えないけれど、もう1人の人間が汚れているから洗おうと思うはずです。見る場所で、ものの見え方が違うのですね。」と農夫は答えた。するとラビは再び「だからお前には教えてもわからない。」と言ってこう付け加えた。

「そもそも同じ煙突を降りて、1人が汚れていて、1人が汚れていないということはありえないのだ。」

 

違う次元のものの見方

「事実」「認識」「真理」の違いを子どもに教えるための説話。

「顔の汚れた泥棒と汚れていない泥棒がいる」という事実が質問によって示された。

しかし、その事実を受け止める認識は見る場所によって異なる。

だが、同じ煙突を通った2人の泥棒のうち、1人が汚れていないということはあり得ない。真理とは、事実や認識とも異なる。次元を変えることで、事実と認識は変わっていく。さらに真理は別に存在する可能性がある。

この質問に「この設問はおかしい」と疑問をもつ子どもの反応を親は期待するのである。