Actions speak louder than words.

行動は言葉よりも雄弁

【日本の昔話】福の神になったびんぼう神

内容

あるところに、大変びんぼうな夫婦がいました。ある年の暮れ、二人が家の大掃除をしていると、神棚がガタガタとゆれ、ぼろぼろの着物を着た、やせた小さな人が神棚からあらわれました。
「わしはびんぼう神だ。この家をびんぼうにしてやろうと思ってきたが、おまえたちが正直で、あんまりまじ めに働くから、この家を出ていくことにした。たっしゃでくらせ」か細い声でそう言うと、びんぼう神はよたよたと歩き始めました。夫婦はあわてました。
「待ってください。神様には変わりありません。どうぞこの家にいてください」 「いいのか。わしがいると、この家はずっとびんぼうのままぞ。」 「はい、びんぼうでも、暮らせないわけではありません。神様が家にいてくださるのです。大切にしますので、 どうかお願い致します。」
二人はそう言って、びんぼう神をむりやり神棚におしもどしました。それから二人は、毎日、神棚に食べもの をおそなえし、こつこつ働き続けました。
すると、少しずつ、暮らしが楽になり、夫婦は、ますますびんぼう神を大切にしました。
そうして暮らしているうちに、いつのまにか夫婦は、お金持ちになり、倉のある大きな家を建て、引っ越し できるまでになったのです。
 引っ越しの日、夫婦は神棚に手を合わせました。
「びんぼう神様。さぁ、新しい家にまいりましょう。」
すると神棚がガタガタとゆれ、なんと、りっぱな着物をきたきれいな神様が出てきました。神様は、二人に 向かって、満足そうににっこりと笑いました。
「おまえたちのおかげで、このとおりの姿になれた。礼を言うぞ。」 働き者の夫婦に大切にされたので、びんぼう神はいつのまにか福の神になっていたのです。