Actions speak louder than words.

行動は言葉よりも雄弁

【タルムード】魔法のザクロ

内容

むかしむかしあるところにとても仲の良い3人の兄弟がいました。3兄弟にはある約束がありました。1番下の弟が12歳になったら世界の別々の場所に旅に出ることです。そして10年間旅をしたら、3人集まり、旅の中で出会った「1番不思議なもの」を持ってくることにしました。

弟が12歳になり、3人は旅に出ました。

1番上のお兄さんは東へ行きました。そこで旅の商人から「世界の隅々を見わたせるコップ」を受け取りました。これが1番不思議なものに違いない、と思い持ち帰ることにしました。

2番目のお兄さんは西へ行きました。ある貴族から「空飛ぶじゅうたん」を受け取りました。これが1番不思議なものだと思い持ち帰ることにしました。

1番下の弟は北へ行きました。歩いていると不思議な木がありました。その木には花がとてもたくさん咲いているのに、ザクロの実は1つしか実っていません。これは不思議なザクロだと思い、持って帰ろうとザクロを1つ取りました。するとさらに不思議なことに花の1つがザクロの実に変わりました。これに驚き、この木が1番不思議なものに違いないと、木を持ち帰ろうとしました。するとそう思った途端、ザクロの木はパッと消えてしまいました。そこで、ザクロの実だけ持って帰りました。

約束通り、10年後に3兄弟は「1番不思議なもの」を持って集まりました。

1番上のお兄さんの「世界の隅々を見わたせるコップ」をのぞきこんでみると、どこかの国の王様とお姫様が見えます。お姫様は病気で苦しそうです。王様は泣きながら、「どうかこの子を助けてください!」と言っています。

3兄弟はすぐに、2番目のお兄さんの「空飛ぶじゅうたん」に乗ってお姫様のもとへ飛んでいきました。到着すると苦しそうなお姫様がいます。

1番下の弟は持っていたザクロを見て、これを食べればお姫様の病気は治るに違いないと思い、ザクロを半分にしてお姫様に食べさせました。お姫様がひとくちふたくちとザクロを食べると、みるみるうちに元気になっていきました。

元気になったお姫様を見て、王様は大喜びです。「ありがとう!お礼にこの姫と結婚してほしい。誰が結婚するかは3人で決めてくれ。」と王様は言いました。それを聞いてお姫様は「わたくしからみなさんに1つ質問をさせてください。」と3兄弟に言いました。

お姫様は、3兄弟にどのような質問をしたでしょうか?

いったい3人のうち誰と結婚するでしょう?

なぜそう思うのか理由も考えましょう。

 

 

 

お姫様は1番上のお兄さんに聞きました。

「あなたは、そのコップでわたくしを見つけてくださいました。今そのコップで世界の隅々を見ることはできますか?」

1番上のお兄さんは「はい、まだコップは世界の隅々まで見ることができます。」と答えました。

お姫様は2番目のお兄さんに聞きました。

「あなたは、そのじゅうたんでわたくしのところへ飛んできてくださいました。今そのじゅうたんは元のまま飛ぶことはできますか?」

2番目のお兄さんは「はい。この通り、まだじゅうたんは飛ぶことができます。」と答えました。

お姫様は1番下の弟に聞きました。

「あなたは、そのザクロでわたくしの病気を治してくれました。今そのザクロは元の大きさのままですか?」

弟は「いいえ。ザクロは半分になってしまいました。」と答えました。

 

お姫様は「では、わたくしは1番下の弟さんと結婚します。」と言いました。

「あなたはわたくしのために、大切なザクロを半分失ってしまったのだから。」

 

 

PainなくしてGainなし

成功を掴むためには、大きなことから小さなことまで、自己犠牲なくしてはたどり着けない。

自分は何を相手に与えられるのか?を考えることが大事である。自分から先に相手に与えていく。相手からの見返りを求めずに、他者に尽くすGiverであることが大切。

この話のお姫様の結婚は後からついてきたもの。お姫様を助ければ結婚できるとは思っていない状態で(見返りを求めずに)、自分の大事なものを半分与えるという弟の行動が、お姫様との結婚(欲しいものを勝ち取ること)を引き寄せた。