成果をあげるリーダーが必ずやっている承認パワーで人が元気に動き出す
著者:中島 克也
あらすじ
承認:結果を褒める(結果承認)、行動を褒める(行為承認)、存在を認める(存在承認)
褒めるに値する「行動や結果」が発生しやすい地盤をどうやって作るか?
1.どうしているかなぁと思って電話しただけ
気にしてくれている上司がいたとき勇気が出る。部下に、メンバーに、どのような形で示しているか?あなたは具体的にどんなアクションを取りますか?
2.君に、いつもやってほしいことがあるんだよ
昨日と今日の変化に気づく。
人はチームや組織に所属した瞬間「仲間として受け入れられているか?」と言うことが気になる(挨拶、声をかけられる、誘われる、話を聞いてくれる、相談を持ちかけられる、任せてくれる、助けてくれる、変化に気づいてくれる、成長を指摘してくれるなどが十分に充足すると安心する)
あなたの体の中に「承認銀行」があるとして、そこに「承認金貨」が預金としていっぱいあれば安心し、余裕があるときは自分から人に「承認金貨」をあげることができる。預金が少なくなってくると不安になる。
もっと欲しくなり、
「戦う」批判する、避難する、否定する
「逃げる」内向きになる、元気がなくなる、ミスが多くなる、体調崩し休みがちになる
と言う行動をとり、見つけてください、認めてください、と求める。しかしこれらの行為は全く生産性がない。
今職場で(所属している組織で)承認がどのくらい流通しているか?
リーダーはいつも観察している必要がある。メンバー同士で挨拶がちゃんとされているか? 1人で孤立していないか?
3.人に関心を持つ
キーマンとつながりたい。
上司が一緒にいるときはいろんな情報や内情を話してくれる。自分ももっと信頼されたい、いろんなことを打ち明けてほしい。
どうすれば信頼できるか?いろんなことを打ち明けようと思うか?
気さく、裏表がない、自分のことばかりでなく相手を大事にする人。
そのキーマンの家族構成を知っているか?子供は何歳?休日はどんな生活している?何こだわりがある?食事は何が好き?趣味は?どんな車に乗っている?心配事は?その人とその人の上司との気がかりは?部下との関係は?夜自宅に帰ってお風呂に入って何を思って就寝すると思う?
自分がしたいことばかり考えていた。キーマンの事は何も考えていない。何も知らない、興味関心を持っていなかった。(上司を全て答えられるだろう)
自分のことを認めて欲しいときには、まず相手を認める必要がある。自分のことばかりに関心を持って人に関心がなくなると大事な人を失う。
4.プロファイルを蓄積する
頭ではわかっていることを実際にやっているかというと難しい。
大事な人と話して思ったことを聞いたことを備忘録として書き残して、その人のプロファイルを蓄積する。
ステップ1 プロファイル項目をリストアップする
これまでのキャリア、仕事の実績、大事にしている価値観、モチベーションの源泉、得意なこと・強み、苦手なこと・弱み、夢・ビジョン、キャリアプラン、会社や上司、同僚部下との関係、周りからの評価・期待、ここ最近の成長したところ、褒めるべき点、指摘修正すべき点、解除すべきメンタルブロック、学習スタイル、成長に必要なサポート、今の気がかりなこと、健康状態、家族の事、好きなことや趣味、休みの日は何しているか、誕生日など。
ステップ2 日々部下など(対象とする人)を観察しこの項目を埋めていく。
プロファイルの項目を作ったら、後は日々その大事な人との会話や観察を通じて一つ一つの項目を埋めていく。埋められなければその項目名様と脳みそがごく自然にそれに関する会話をしてくれる。数週間で1人分は完成する。
ex)週末土曜日の朝の1時間はプロファイルのバージョンアップの時間にあてる。
やっているとこれまでとは違う関係性が生まれる。
5.いきなりクライマックス
久しぶりに会って出会い頭に迷いなく結論から言うと、今悩んでいることを、頭の中でいっぱいになっていることを急に言われてるので印象に残る。
相手の投稿やつぶやきを見ていると、その人の状態がリアルにわかる。書き方や頻度でその人の体調や仕事での状態もわかるようになる。
6.K.K.K
K 関心興味を持って観察する
K 記録する、記憶する
K 昨日と今日の変化に気づく、声をかける
変化、(頻度や内容、ニュアンス、写真の撮り方、いいねする内容)には何か意味がある。
7.信頼を前提とした言葉の選び方
言葉の選び方によって相手への伝わり方がガラッと変わってしまう。
ex)がんばってね とがんばっているね
あれはやったの?とやってみてどうだった?
心の奥底にある不安や不振、相手への猜疑心は見えてしまう。
なんでできなかったの?とあなたらしくない、どうしたの?
信頼を前提とした言葉の選び方をすれば、その言霊はきっと部下に響く。部下もその期待に応えようとする。
8.リスペクト
失敗談からの教え。
いち早く気づきを与え、いち早く変わってもらいたいと思っていても、正直に答えていない、質問をはぐらかすと感じたらそれを相手にすぐ伝えてしまうと「戦いモード」になってしまう。
ex )具体性が見えない、とらえどころがない、柔軟性がない、本音を言わない、自分を変えようとしない、…
これをコーチに相談すると(次もどんどんフィードバックするといいと思い込んでいた)
「もしそういったクライアントの態度をあなたが引き起こしちゃっていたとすると、それは何だろうね?」
原因は誰のせいでもなく全て自分。「彼の今までの功績ってなんだろう?」
次のセッションからの新年は「彼の今までの功績を認めること」
彼の歴史を一つ一つ紐解くように丁寧にじっくり聞く。受け止めて理解しようとする。それを繰り返す。相手が差し障りのない表現で、淡々とやりとりが続いても8回目にしてやっと少し開き始めてくれるのかもしれない。
信頼関係が生まれる前に、相手を変えよう動かそうとすると、相手も抵抗を示す。少しの成功体験と強い期待を受けて図に乗ると見失う物がある。
「クライアントの過去に敬意を払うこと」
9.手伝って欲しい仕事があるんだけど
アシスタント業務とは主に、上司や先輩がソリューションを導くための基礎となるデータ収集、各種資料やアンケート等から定量分析、現地調査やヒアリング等から定性分析など、基礎の基礎を徹底的に繰り返すと言うもの。
先輩から手取り足取り教えてもらうと言う形式ではなく徒弟制度のような形で「先輩の背中を見て育つ」「技術を盗む」と言う文化があった。
フィードバックは「ダメ出し」ばかり。具体的ではなく「自分で考えて」「もっとクライアント視点で考えられないの?」「いろいろな視点でものを考えられないと」。
別の先輩から、あるクライアントに向けて書いたレポートがあるんだけど読んでおかしなところがあったら赤でガンガン直してほしいと頼まれた。
この分野のことを全くと言っていいほど知らないから(クライアントも知らない分野だから)クライアントになりきって、素人としてレポートを見て、専門用語とかロジックとか当たり前のように使ってしまうところを指摘してほしい。「初めてこのレポートを読みます!」と言う感じで赤入りをする。細かく。口うるさく。
これを何回も何回もやることで、クライアントのことを知り、いろんな本を読み「その業界にいる人は、どういう生態なのか。どういう業務をしているのか」「どういう考え方で、どういう生活をしている人たちなのか」「その中でどういう経営者が多いのか」「オーナー社長は何を考えて経営している人が多いのか」と本だけでなく現場に行ってヒアリングするなどして、知る努力をする。
そしてどのような反応だったか、どんな質問が出たかを聞き修正していく。
3ヶ月ぐらい繰り返すと一瞬にして「誤字脱字」が目に飛び込んでくるようになる。
担当者の視点だけでなく経営者の視点、エンドユーザーの視点と様々な視点でレポートを見られるようになる。
自分が作った(先輩にダメ出しされる)レポートのダメ出しが極端に減る。
「クライアントの視点で」と口で言うのは簡単。その人からその人の視点からフィードバックをすることで初めてその人になりきることができる。
10.人を動かすプロ中のプロが意識していること
ヘッドハンターとして人を動かすあり方について。
自分の会社に誘いたい人がいたらどうするか?
会食に誘って、こんなことやっているよ、こんなことやりたいと思ってるよといかに良い会社かおもしろい会社か、情熱を込めて話す
→これは1番やってはいけないこと。
相手に語らせることなく、自分だけが夢を語ってはダメ。
その夢はあなたの夢。その話がヒットして動く人もいるがそれはあなたと同じ(似ている)ツボの人。そういう人が欲しいのか?
まずはその人の価値を知る。その人のパーソナルストーリーを聞く。幼い時から夢中になって言ってきたこと、高校の時どんな無部活をやってきたのか、どんなことに興味があったのか、自分で選択できる高校生以上になってからの事は特に重要。大学はどこで、サークルは何を選び、バイトでは何をして、そしてなぜ今の会社に就職したのかを聞く。その人の大事にしていることが見えてくる。その人の価値がたっぷり入っている。
過去に目を向ければ、その人が大事にしてきた「価値の連鎖」が見えてくる。その「価値の連鎖」の延長線上に、あなたのやりたい仕事がきっとこの会社までできるんじゃないかなと言うことが示せれば、その人が勝手に動き出す。相手に対する関心がないと要望を入らない。
11.褒める機会を増やす
褒めることがなかなかできないのは、あなたが用意している基準が極めて高いから。まだ甘いと思ってしまっている。
たとえ水準以下でも成長しているので、そのわずかの成長を観察する。その成長を指摘し、褒めてあげる。そして励ます。
この改善、成長プロセスがなければ水準越えはない。そこを応援することで、水準声の確率を高めるれるかもしれない。
12.自分に対して100いいね!
「自分に対して100いいね!」と言うイベント。
自分についての良いところ、素敵なところを100個書き出す。
家族の仕事仲間に言及するのもOK。否定的な言葉を使うのはNG。10人位で参加して、お互いに褒めながら100いいねを作る。
やってみると1時間位で20個出した位で止まってしまい、その後全く出ない。そこで周りの人に聞いてみる。「すぐに20位しか出てこないところがいいね」と言われブレインブロックが外れる。
13.赤ちゃんの寝返り
人は成功体験が少なかったり、成長実感に乏しいとき、誰からも認めてもらえなかったりすると、やる気を失う。
人をやる気にさせたかったらこの逆を行く。小さなことでいいからまず成功させて、祝うこと(承認すること)。小さな成功体験をたくさんさせてあげて自信をつけさせる。
子どものときは、褒められたり喜んだりしてもらえると嬉しくてやる気がアップした。大人になるとそういう機会が減る。
相手がとった行動、仕事はもしかしたら彼らにとっての「はじめてのチャレンジ」だったのかもしれない。赤ちゃんの寝返りのように。
14.オセロ
いくら関わっても改善しない、全くだめな人、だらしない人と思ってしまうとネガティブの視点しか持てなくなってしまう。
まず「何を持って〜な人と思っているか?」を具体的にする。
ex )「だらしない」
机の上の整理整頓ができない。
言われたことを直後は守れるが、しばらくすると元に戻る。
髪の毛に寝癖がついている。
歩く速度が遅い。
話すペースはゆっくり。
デスクワークのときに猫背など。
この一つひとつを見ると中には変えることができそうなものもある。相手の行動変革を求めるときはここ1番のポイント。オセロのようなもの。
周りから「あの人変わったね」と言われる時、それはその人の行動が変わったと言うこと。一瞬で変わるのではない。ただちょっとした行動がはじめは「黒」だったけど行動が変わって「黒」から「白」へと少しずつ変わる枚数が増えると遠目から見ると、なんとなく「黒っぽい」から「グレー」。さらに行動が変わって「白」の数が大半になると「〇〇さんてかなり変わったよね」となる。
一つひとつだったら、変わる可能性はいくらでもある。
一つひとつにすると、変化や成長を褒めやすくなる。
15.褒めすぎると調子に乗るのでは?
どんどん褒めてよし。調子に乗ったらいい。良い行動をする。
褒めすぎたら成長が止まるのでは?
それは同じ状況のまま褒め続けたら怠ける。次の成長促すハードルをうまく設定していく。うまいリーダーは絶妙のタイミングで絶妙な難易度のハードルを与える。
褒め過ぎたら調子乗って悪しき行動をするのでは?
そのときは悪しき行動ををカットする。伸びはじめにに剪定をする。
1つの褒め方では飽きて当然。褒めすぎで依存体質になる可能性もある。だから「褒めのレパートリーを増やす」ことや「段階的な褒めの間引き」が重要。こうした褒め方の創意工夫を常に考え、実践し続ける。
16.シェイピング
相手の話に耳を傾け、話をよく聞き、問いかけて、考えさせて、また発言させて、そして良い意見や良い行動があったら褒めてあげる。
これを2週間くらい繰り返すと相手に変化が出てくる。
報・連・相が増える。なんでこんなことまで報告するのかって言うくらい相談される。こちらが聞いてくれることに安心したのか、嬉しいのか話が長くなってきた。このようになってきたら次のステップ「シェイピング」へ。
話を聞いてあげたり一緒に考えるスタンスを示したり、褒めてあげたりは、水や太陽の光のようなもの。承認サンシャインと承認シャワーで芽吹いて伸びた。
このときいろんな種類の草木が伸びるので、中には伸びて困る雑草がぐいぐい伸びてしまうこともある。「望ましい行動」のみが芽吹くわけではない。放っておくとそ雑草の方が伸びが早いことがあるので少し刈り込んでいく。望ましくない行動を剪定をして、良い行動だけを残して伸ばしていく。きれいに整えていく「シェイピング」をしていく必要がある。芽吹く前に刈り込むのはだめだが、伸びてきてからはメリハリをつける。
17.フィードバックは何のためにするかわかるかい?
褒めるため、承認するため。「ここまでできたね、すごいねと、今とっている行動が期待通りだよ!続けていこう。いいね!」と望ましい行動継続的に取れるように安心してもらう。
それを充分すぎるほどしてあげてから、もっと良くなるためにはこうしたら?と添えてあげるのは大事なこと。
測定するのは、褒めるところを探すため。いいね!が全くなく、測定したらネガティブなフィードバックしかないということが続くと、条件反射的に緊張してしまう。これで成果は出ない。
やらないと怖いから仕方なくやるわけで、一時的であり、怒られない程度の成果が出ればそれでやめてしまう。想定を上回るほどのパフォーマンスは引き出さないし、成果を出そうと思うの人なんていなくなる。
フィードバックは怖がらせるためにやるのではない。正しき行動を増産させて、正しき成果を増大化するため。そして正しくない行動を限りなくゼロに近づけて、より正しき成果の最大化を図る。この根っこのスタンスが変わらない限り、相手は重ね着した鎧を脱ごうとはしない。
18.最高の紹介
忙しい中でもたまにきちんと承認する。
人の心をつかみ、動かす能力を手に入れたくてもなかなか入るものではない。上司に恥をかかせたくないという一心で、猛烈に勉強し、死ぬほど働く。
結局、人の心をつかみ人の気持ちを動かすプロの上司につき動かされて、動く。
19.ナルシ から たらし へ
なぜか無性に協力してあげたくなる人。
頭がいいけどちょっとだけ抜けている人。
できる人だけどちょっとだけスキがある人。
かっこつけていると言うより愛嬌がある人。
周りに人が自然とつまり、協力も智慧も成果も手にしている。
周りの人が「心の底から喜んでその人に協力している」
部下が「〇〇さんは私たちがいないとダメなんだろうなって思う」「しょうがないなぁ、後は私がなんとかしておきますよ」と思うのは、部下の存在を承認できているから。私がいてもいなくても同じではなく、私がいなくてはダメと思わせて、自己効力感を高めている。リーダーは1人ではなしえない大きな仕事を実現させるために、他人に働きかけ、協力を仰ぎ、力を結集して、実現させていく。人を束ねていく。そのためには「周りの人を気持ちよくさせて、その人がついつい喜んで動いて思わず協力したくなっちゃう技術」が必要。
読んだ感想
少しずつ部下や後輩が増えてきて、ただ上から指示を受けるだけでなく、指示する立場にもなり、どうやって人を動かすかを知ろうと思って読んだ。
自分がされてうれしいことは、人にもやってあげるべきだし、上司からされて嫌だったことはしないようにと意識している。
自分だけでなんとかすると強がっていた時期も昔ちょっとあったけど、やっぱり人と協力しないと効率が悪いし、自分が苦しいことに気づいてから、どんどん仕事は人に振るようにしている。得意な分野を把握してどんどん振っていくと効率が良い。そして自分は時間をかけたい仕事に集中できる。良いことだらけ!
読んで、この技おもしろいなと思ったものをどうやって実践してみるかを考えるのもおもしろい。
プロファイルを蓄積していくことは、職場だけでなく、人付き合い全般的に応用できるものだと思う。そもそも相手に興味関心をもって、頭を使って質問して聞き出す。これを繰り返して相手を理解していく。
仕事上の人間関係とプライベートの人間関係って何が違うんだろう?
上手くいかないのは関心がないからなのかな。