内容
ある日、王様がお姫様にこう言いました。「今日からお前を教えるラビが来られる。知恵深い先生だからよく学びなさい。」
そこに不細工なラビが到着しました。「知恵と顔は正反対のようですね。そんなに不細工な顔で知恵深いなんてびっくりよ。」お姫様はこう言いながら笑いました。
ラビはにっこり笑ってこう答えました。
「この王宮のお酒は全部土のツボに入っていますね。そんなに貴重なお酒は、高い金のツボに入れるべきではないですか? 」
お姫様はその言葉に納得しました。そこで召使いに、すべてのお酒を金のツボにう移させました。
ある日、王様が食事の際にお酒を飲むと顔が歪んでいます。
「お酒の味がおかしい。どうなっているんだ!」
お姫様は得意そうな顔でこう答えました。
「高くて貴重なお酒なので、高くて貴重なツボに入れるべきだと思って金のツボに入れ替えさせました。」
「なんてことをしてくれたんだ!酒は土のツボに入れてこそ味が良くなるのに!そんなことも知らなかったのか? 」
王様に怒られたお姫様は 、 腹を立てながらラビ の元に行きました 。 話を聞いたラビが笑いながらこう答え ます 。「 そうでしたか 。高くて貴重なツボにあるからといって 、お酒の味が良くなる わけでは無いようですね ? お姫様もこれからは見た目だけを見ないで、中に何が入っているのかをよく見てください。」
お姫様は顔を赤くして、何も言えずにたたずみました。
甕(かめ)を見るな、中に入っているものを見よ。
甕は入れもののこと。大切なものはその中に入っている。
人もルックス、家柄、学歴等で評価されがちだが、そのどれも人としての「働き」という意味では正しい評価ではない。「どう育ったか」というよりも「どう考えて」「どう動く」のかが人として直感的な評価、世のため人のために考えて動けるか、そういったものさしが、人の評価を決める。