Actions speak louder than words.

行動は言葉よりも雄弁

【インドの古い話】オオカミの断食

話に出てくる、ボーディサッタとは「のちに仏陀になるはずの人」という意味で、お釈迦様の前の世の姿のこと。

 

内容

むかしむかし、ブラフマダッタ王が、ベレナスの都で国をおさめていたころのことです。ボーディサッタが神々の王インドラに生まれかわったことがありました。

そのころ、ガンジス川の岸の岩の上に、1ぴきのオオカミが住んでいました。あるとき、雪どけの水がガンジス川に流れこんできて、岩のまわりがすっかり水でかこまれてしまいました。オオカミは岩の上に取り残されたまま、たべもののたくわえもないし、たべものをさがしにいくこともできません。川の水はしだいしだいに増してきます。オオカミは考えました。

(たべものもないし、たべものをさがしにいくこともできない。どうせ、こうして何もせずにすわっていなければならないのなら、いっそのこと、断食修行でもしたらどうかな。)

そこで発心して、殊勝にも断食修行をはじめました。

インドラの神さまがそれを見て、あのおおかみの決心はどうもあやしいものだ。ひとつじゃまをしてやろうと思い、ヤギに姿をかえて、わざと目につくように、オオカミのそばへ近よっていきました。

オオカミはヤギの姿を見ると、「断食はまた、ほかの日にしよう。」と、言うが早いか、はねおきて、とびかかっていきました。けれどヤギはあちこち逃げまわって、なかなかつかまりません。ヤギがとうてい、つかまりそうもないとわかると、オオカミは追いかけるのをあきらめ、またもとの場所に帰って、ごろりと横になりながら、心の中で、(とにかく、まあ、よかったよ。断食を破らずにすんだのだからな。)と、言いました。

インドラの神さまは神通力で空中に浮かびながら、オオカミをからかって、言いました。

「おまえさんのような気まぐれものには、とても断食などできやしない。おまえはわたしがインドラの神だとは知らずに、ヤギをたべるつもりで、とびかかってきたのではないか。」

そしてインドラの神は、天へ帰っていきました。

 

 

意志の強さがどのくらいなのか測られているのかなと思った。一度決めたことを簡単に破ろうとしてしまう姿を周りに見せれば、信頼はどんどんなくなっていくのだろうな、ということが教訓の話なのかなと思った。