Actions speak louder than words.

行動は言葉よりも雄弁

【タルムード】ヒツジとヤギとライオン

内容

むかしむかし、ヒツジとヤギがいた。ヒツジはヤギが大好きで、ヤギもヒツジが大好きだった。ある日、ヒツジがヤギにいった。

「ねえ、いっしょに家を建てようよ。もうじき雨の季節になるっていうのに、雨をしのぐ屋根さえないんだもの」

ヤギはヒツジのことばに耳を貸さず、誘いに乗ろうともしなかった。

別の日に、ヒツジはふたたびヤギに家を建てようといってみたが、ヤギはまた、そっぽをむいた。しかたなく、ヒツジはひとりで家を建てはじめた。

家を建てながら、ヒツジはもう一度、ヤギを誘ってみた。

「ねえ、いっしょに家を建てようよ」

だが、またまたヤギはそっぽをむいた。

ヒツジはひとりきりで働きつづけ、ついにりっぱな家をつくりあげた。何日かすると、雨が降りだした。雨季のおとずれだった。土砂降りのある日、ヤギがやってきた。

「どうか、ひと晩泊めてくれ」

ヒツジは、どうぞ、といわなかった。ヤギはしかたなく、家の外で寝た。つぎの日、ヒツジが外に出てみると、ヤギは死んでいた。ヒツジは、ヤギの皮を屋根にのせてかざった。おかげで、家はますます美しくりっぱになった。

春がきて、ヒツジは子ヒツジを2匹産んだ。子ヒツジたちは、アンジョレとバンジョレと名づけられた。朝、ヒツジは草原に出かけるまえ、子ヒツジたちを家のなかに入れて鍵をかけ、夕方、帰ってくると声をかけることにした。

「アンジョレとバンジョレ、戸を開けなさい!母さんが帰ってきたよ、お乳をいっぱいにして」

そうすると、子ヒツジたちは戸を開け、母さんヒツジから乳をたっぷり飲ませてもらうのだった。

こうなふうにひと月たち、ふた月たち、ある日とうとう、ライオンが感づいた。ライオンは子ヒツジを襲うことにした。だが、どうやって?ライオンはあれこれ考え、ついに、いい方法を見つけた。そうだ、母ヒツジに変装して、「戸を開けなさい」といえばいいんだ。子ヒツジたちは、今日は母さんが早く帰ってきたと思って、戸を開けるにちがいない。

ライオンはさっそく、ヒツジの家にいって戸をたたいた。

「アンジョレとバンジョレ、戸を開けなさい!母さんが帰ってきたよ、お乳をいっぱいにして」

子ヒツジたちはいった。「母さんはこんなに早くかえってこないよ」

「今日は緑の草がいっぱいあったから、お乳がすぐにたまったんだよ」

「母さんは耳が大きくて、脚が細くて白いんだ。ぜんぜん母さんに似てないよ」

ライオンは自分の家に帰り、からだを白く塗って、子ヒツジたちのもとにもどった。けれども、今度も子ヒツジたちは戸を開けようとしなかった。

ライオンは、どうしたものかと考えた。そして、とうとうヒツジの家の戸を蹴破って飛びこんだ。ライオンは子ヒツジたちを丸呑みにすると、戸をしめて立ちさった。

夕方、ヒツジが帰ってきた。

「アンジョレとバンジョレ、戸を開けなさい!母さんが帰ってきたよ、お乳をいっぱいにして」

返事はなく、物音ひとつしない。ヒツジはまた声をかけた。もう一度、子ヒツジたちを呼んだが返事はない。ヒツジは心配になって、家に飛びこんだ。なかは空っぽだった。ヒツジはわけがわからず、どうしていいやら、とほうに暮れてしまった。

ヒツジはキツネの家にいった。

「キツネ、キツネ、出てきなさいよ。なぜ、うちの子どもをつれだしたの?さあ、わたしと闘いなさい」

キツネが出てきていった。「ヒツジさん、あんたの子どもをつれだしたりなんかしてないよ。あんたと闘う理由なんぞ、おれにはないね」

ヒツジはニワトリ小屋にいって、屋根にのぼった。ニワトリたちが目をさまし、おびえてコッコ、コッコと鳴きだすと、ヒツジが叫んだ。

「うちの子どもをつれだしたね。さあ、わたしと闘うんだ!」

ニワトリたちがいった。「コッコ、コッコ、あんたの子どもをつれだしたりなんかしてないよ。あんたと闘うなんて、やなこった」

ヒツジはニワトリ小屋の屋根からおりると、犬小屋にいった。イヌが出てきた。

「ヒツジさん、どうしたんだい?」

「うちの子どもが二匹ともさらわれた。だから、あんたと闘うんだ!」

犬がいった。「子ヒツジなんかさらってないよ。闘うなんて、ごめんだね」

とうとう、ヒツジはライオンの家にいった。ライオンが出てきてうなった。

「だれだ、おれを起こしたやつは?眠りの邪魔をするのはどこのどいつだ?」

「わたしだよ。もっと邪魔してやる!うちの子どもを襲ったのは、お前だね?さあ、わたしと闘うんだよ!」

「たしかに、おれがおまえの子ヒツジを襲ったよ。だけど、裁判で判決がでるまでは、闘うのはごめんだ」

ヒツジはライオンのことばを受け入れて、裁判の日を決めた。

ヒツジは裁判官への贈りものに、白くておいしい、しぼりたての新鮮な乳を入れたお椀を用意した。ライオンは風船に小麦を4粒入れて大きくふくらませ、きれいに色を塗った。それが裁判官への贈りものだった。

ライオンとヒツジは、裁判所にいってあいさつをした。裁判官があいさつを返し、ライオンとヒツジと裁判官は席についた。ヒツジは裁判官に、乳の入ったお椀をさしだした。

「これが、わたしがさしあげられる精一杯です」

ライオンは裁判官の奥さんに、風船をわたしていった。

「これが、精一杯の贈りものです」

裁判官の奥さんは、風船のなかになにが入っているのか知りたくてたまらなくなって、風船をつついた。すると風船がわれて、麦粒のひとつが裁判官の目にパシッと当たった。裁判官は目が見えなくなった。ふたつ目の麦粒は奥さんの目に当たり、奥さんの目も見えなくなった。三つ目の麦粒は壁に当たって、壁には穴が開いた。四つ目の麦粒は裁判所の扉に当たって、扉にも穴が開いた。

判決のまえに、裁判官はペンチを持ってこさせて、ライオンの歯を全部抜いた。それからヒツジの角を研いで、槍のように鋭くさせた。

裁判官は、ヒツジとライオンをむかいあわせて、いった。

「判決をいいわたす。たがいに闘いなさい!」

まず、ライオンがヒツジに噛みついた。だが、歯が抜かれていたので、あまがみしかできなかった。

今度はヒツジの番だった。ヒツジは鋭くとがった角をライオンの歯らに突きたてた。すると、腹のなかから2匹の子ヒツジが飛びだした。アンジョレとバンジョレだった。ヒツジはアンジョレとバンジョレをつれて家にかえり、元気で丈夫なヒツジに育てた。

 

この話の教えが何なのかがいまいちわからない

いろんななぜ?があって、3回くらい読んだけど、いまいち何を教訓としたい内容なのかがつかめない。とりあえず、思うなぜ?を書き出して、それに対する答えを考えないと、何を言いたい話なのかがわからないまま。本筋の影響のあるなぜなのか?ただ例えばなしとしてとらえれば良い、本筋にあまり関係ない疑問なのか?の見極めがつかない。こういうよくわからない話ほどハブルータをして、ほかの人の考えを聞いてみたい。