内容
ある船が航海の途中で大きな嵐に遭いました。何日も海を彷徨い、船はボロボロになり、無人島に流れ着きました。島に少しの間留まり、船の修理が終わったらすぐに出航することになりました。
船には3人の乗客がいて、長い航海で3人ともお腹がすいていました。島にはフルーツが実っている森があります。森の入り口からは船が見えます。森の奥へ行けばたくさんフルーツがありそうです。
3人の乗客は、それぞれ次の3つ行動をとりました。あなたはどれを選びますか?
①いつ船の修理が終わり船が出発するかわからないので、船から降りずに待っている
(島に取り残されるという心配が強く、空腹は我慢する)
②船から降りたものの、船が見える範囲内でフルーツを食べて、船の修理が終わる様子を見て急いで船に戻る
(少しだけフルーツを食べて、満腹にはならない)
③船の修理には時間がかかるだろうと考え、森の奥まで行き、たくさんのフルーツを食べる
(船の様子は見えないが、まだ大丈夫と思ってお腹がいっぱいになるまでフルーツを食べる)
なぜそれを選びましたか?3人の乗客はその後どうなったでしょう?
①を選んだ乗客は、空腹と脱水の状態で、その後のつらく長い航海に耐えきれず、力尽きてしまいました。
③を選んだ乗客は、お腹が満たされてから船のあるところへ戻ったときには、船は出発していました。無人島から脱出できずその島で一生を終えることとなりました。
②を選んだ乗客は、船に乗り込むことができて、空腹もしのげたので、3人の中で唯一助かりました。
船の中は現状、船の外はリスク、フルーツはリターンをあらわしている。
1人目の乗客は船から降りず、リスクを全くとらなかった。リスクをとらなければリターンを得ることもできない。
3人目の乗客はリターンばかりを考え、リスクを取りすぎてしまった。大きなリターンには大きなリスクが伴う。
2人目の乗客はリスクとリターンのバランスを考えた行動をとった。
大事なことは適正なリスクをとること
リスクを分類して、すべての可能性を考えた(対策を講じた)上で、最適なリスクをとること。リスクを犯さないことは大事ではない。
素早くリスクを計算して考える習慣をつける。1番リスクが小さくて、最低限何らかの成果を得られるものを選ぶ。
選択肢の3つ以外にも、どんな行動が考えられるか?
フルーツをたくさん持ってくる代わりに、出航を待ってもらうように交渉する
島に取り残されたら、他の船が来るのを待つ
など、いろいろ考えられそうである。
この話を始めて聞いたとき、リスクの大きさは考えなければいけないが、1番まずいのは①の乗客のように何もしないでただ待つだけだと思った。やはり、何かしら行動をしないと、何も手に入れられないと思う。
この適正なリスクをとるという考え方に納得して、タルムードというものに興味を持って、他の小話も本やネットで調べた。考え方がおもしろいし、これは生徒に教えてあげたいと思うようになった。タルムードを調べていくうちに、ユダヤ式教育方法をハブルータと呼ぶことを知り、さらに調べを進めている。