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行動は言葉よりも雄弁

【タルムード】青年アダムスの疑問

内容

アダムスは疑問に思った。なぜ神はいい人に不幸を与え、悪い人に幸せを与えるのか?

町で1番の賢者であるエリジャという預言者に聞きに行った。

エリジャ「わかった。私についてきてもいいが、なぜと聞くな。」

1日目の夜、2人は貧しい夫婦の家に泊まった。思いがけないご馳走をいただいたが、翌朝その家の乳牛が死んだ。

2日目の夜、大金持ちで強欲な商人が住んでいる家を訪ねた。「ご馳走する気はない。水1杯だけなら与えてやる。家には泊めないが、軒下で雨を防いでくれ。」と言われた。次の日嵐が過ぎ去り、大きな木が根こそぎ倒れていた。それをエリジャは元の状態に戻してあげた。

アダムスは、どうして冷たく扱われた商人に親切にするのかわからなかったが聞くのを我慢した。

3日目、裕福で欲深い信者ばかりがいる町に来た。信者は2人に貧しい食事を与えただけだった。次の日エリジャは「あなた方全員に幸あれ。あなた方全員が立派なリーダーになれるように神は祝福されるでしょう。」と言った。

アダムスはますますわからなくなった。

4日目、今度は貧しい村の教会に泊まった。信者たちはみんな貧しかったが、2人を丁寧にもてなしてくれた。翌朝、出発するときにエリジャは信者たちに「あなた方の中でたった1人が立派なリーダーになることを神様は望んでおられるでしょう。」と伝えた。

とうとうアダムスは我慢できずに質問してしまった。するとエリジャはこう答えた。

「1日目の乳牛が死んだのは、本当は奥さんがなくなる予定だったのを神が乳牛に変えてくれたのだ。

2日目は倒木の根元に金貨が5万枚ほど埋まっていたのが見つからないようにするためである。

3日目は全員がリーダーになると意見がまとまらず、あの町の運営は悪化していくだろう。

4日目は1人のリーダーの方が意見がまとまって、運営が適切に行われるのだ。」

これを聞き、アダムスは「神がなさることは一時点のある現象を見ても分からない。このことをよく心に留めておこう」と思った。

 

表面に見えないあらゆる可能性を考えてみよう

人の妬み、嫉みに対する戒め。一時的なものをみて、羨ましがったり特別扱いされる人をねたんでしますことがある。しかし、その人が一見すごいことをしていたとしても、長期的視点や多角的視点で見てみると、この事柄がマイナスに転じるきっかけになる可能性もある。自分が絶好調であるときも、浮かれずに常にバランス感覚を持った判断が必要になる。

アダムスに質問をしてはいけないと言ったのは、表面に見えない可能性を自分で考えてみなさいというメッセージだったのである。別の次元から客観的に物事を捉える力をつけたい。