Actions speak louder than words.

行動は言葉よりも雄弁

【タルムード】酒の樽

内容

山奥の、あるユダヤ人の村で、ラビが亡くなった。村人たちはラビを弔い、喪が明けると、村に来てくれそうな新しいラビを探しに、村の長老たちは近くの町に出かけた。あちこち探し回ったすえに、ある若いラビが、「行きましょう」といってくれた。長老たちは、その若いラビと給料や着任の日取りを決めて、ほっとして村に帰っていった。

長老たちが村に戻ったゆうべ、村人たちは新しくやってくるラビについて、名前や年格好や優 すぐれたところを聞こうと、ユダヤ教会堂に集まってきた。報告が終わると、ナビが着任する日には、村人全員が集まって、祝の宴をひらこうという話になった。そして、宴のために、宴協会ユダヤ教会堂の中庭に空の樽を用意し、宴会前日に村人それぞれが、酒ひと瓶分を空の樽に注ぎ入れることになった。

たる樽はいっぱいになった。新任のラビが到着すると、村人たちはラビを住まいに連れて行き、ユダヤ教会堂に案内して、午後の祈りと夕べの祈りをささげた。

祈りのあと、祝いの宴になった。だが、どうしたことだろう?樽から注いだ酒は、酒の味が全くしない。水の味しかしなかった。長老たちは新任ラビの手前もあって、戸惑い、恥じいった。つきさすような静寂が立ちこめた。

しばらくして、すみにいた貧しい村人が立ちあがって言った。

「みなさんに、告白します。じつは、みなさんはお酒をひと瓶分注ぎ入れるだろうから、わしがひと瓶くらい水を入れたって、だれにもわからんだろう、とひそかに思ったんです」

その言葉が終わらないうちに、またひとり、立ちあがった。

「じつは、おれも同じようなことを

また1人、また1人、「わしもです」「俺もです」といいだし、とうとう村人全員が同じことをしていたと分かった。

村人たちは急いで家に戻り、本物の酒を1瓶ずつ持ってきた。それから、食べたり飲んだり、宴会が楽しく始まった。

安息日の午後の説教で、新任のラビはいった。

「ここにお集まりの皆さんは、それぞれが、まず自分の責任をまっとうすれば空の樽は酒でいっぱいになる、そうでなければ水でいっぱいになる、村全体も空の樽と同じだ、と学びました」

 

 

信頼関係を作ることにつながるなと思う。他の人も自分も、全員が自分のやるべきことに専念してできるのは、他の人もしっかり仕上げてくる、こなしてくる、ことが全体にあってのことだろう。そこの関係が成り立って、できることもあると思う。