内容
よく晴れた夏の昼さがり、二枚の紙が日なたぼっこをしていました。二枚の紙のうちの一枚は白雪さんと呼ばれていました。白雪さんは雪のように真っ白で、それを自慢にしていました。
「わたしを見てちょうだい」と白雪さんはいっしょに日なたぼっこをしている友だちに言いました。「わたしみたいな真っ白な紙、見たことがないと思わない?」もう1枚の紙はあけぼのさんと呼ばれていました。あけぼのさんもおどろくほど真っ白で、しみ一つありませんでした。そうですね、いずれ劣らぬ清らかさと言っておきましょう。
しばらくして二枚の紙はずっと遠くの地平線上に人影が一つ、現れるのを見ました。人影はしだいにこちらに近いづいてくる様子です。
「どういう人かしら?」と白雪さんが言いました。
「何か手に持っているみたいだけど」とあけぼのさんも言いました。
近づくにつれて、その誰かが手に持っているものが見えるようになりました。絵筆が数本、それにパレット。そのひとの目には夢を見ているような、ふしぎな輝きがありました。それはしっとりとした、おだやかな、愛の炎でした。画家の胸のうちに燃えている夢の放つ輝きでした。
「あのひと、何をしようとしているのかしら?」と白雪さんがつぶやきました。「まさかわたしたちの上に絵を描こうっていうんじゃないでしょうね?」
あけぼのさんは恐ろしそうに身をちぢめました。「ええ、たぶん絵を描こうとしているのよ。」
「わたしはいやよ、ぜったいに」と白雪さんはきっぱり言いました。「純白のこのわたしをよごすなんて、とんでもないことだわ。」
「でもあのひと、、もしかしたらすばらしい画家かもしれないわ」とあけぼのさんはつぶやきました。「わたしたち、もしかしたら傑作になるかもしれないのよ。」
「そうとも限らないわ」と白雪さんが言いました。「あのひと、へぼ画家で、めちゃくちゃな絵を描くかもしれないじゃないの。いやよ。わたしには危険をおかす気はないわ。わたしは死ぬまで純白のままでいたいの。」
さて画家は二枚の紙に近づいて、自分の夢を描かせてもらえないかと頼みました。
「おことわりします!」と白雪さんは答えました。やがて白雪さんは雨風にさらされて見るかげもない紙くずになりました。
あけぼのさんは言いました。「あなたのいいと思われるようになさってください。っわたし、あなたを信頼しようと思うんです。あなたの画家としての腕前にわたしのすべてをお任せしますわ。」
画家はあけぼのさんの上にすばらしい絵を描きました。それは世界に二つとない、ユニークな傑作でした。画家の胸のうちにあった夢が見事に描かれ、その後長いこと、たくさんのひとがその絵を眺めて、そのうちにこもる深い想いとうつくしさのうちに自分たちがいつか見たきり、忘れていた、めいめいの夢を見いだしたのでした。
人を信頼せずに1人では成長せずに、何かを成し遂げられないということかな。この二枚の白い紙は絵を描かれることが夢だったのかな。白いままでいたいというのは、変化を恐れているということで現状に満足していることを表していて、そのまま新しい世界を受け入れずにいると、衰えていくことをあらわしていると思った。絵を描かれて新しい世界で人に見られ続けるということは、新たな挑戦でもあるし、変化を受け入れたから見えてきた世界なのだろうな。今の教育現でも、過去はこうだったから・・・に囚われすぎて、社会の変化に合わせて変化しないままでは学校として続いていかないのでは?と思うことがある。そして自分はこのままここで続けていく意味があるのだろうか、自分のできること自分の得意を生かせるのは本当にここなのか?と思うことはある。