内容
あるところに、とても性格の悪い王様がいました。
「この国は全て私のものだ!海の魚も、山のシイタケも全部私のものだ!」
民たちは魚を捕まえる時も、山のシイタケを捕る時も王様の許可を得ないといけなかったのです。
「なんてこった!魚を1匹も捕れなんて!」
「お腹が空いて死んでしまいそうだ!」
欲深い王様は宮殿の前にある桃の木を特に大切にしていました。
その木にとても美味しい桃がなっていたからです。
「これは全部、私が食べるんだ!」
王様は桃の木の前に行き、木の実が一つでもなくならないように毎日数えました。
「一つ、二つ、三つ…80、良かった。そのままだ」
その国の民たちは、この桃をとても食べたがっていました。
そのため王様はこの桃が盗まれないかがいつも心配だったのです。
「桃の木に見張りを付けよう。でも、その見張りが食べてしまったら困るな…」
散々悩んだ挙句、王様は家来にこう命じました。
「前を見えない者と、足が動かない者を連れて来い!」
家来がこのような条件の2人を連れてくると、王様はこう命じました。
「お前たちを今日から、桃の木の見張りとして命じる!」
その日の夜、王様は桃の木が無事なのかを見に行きました。
見張りは大声でこう叫んで人々を追い払っていました。
「あっちへ行きなさい!これは王様の桃の木だ!」
王様はニッコリ笑ってこう言いました。
「良かった。これで安心だ。前を見えない者と足を使えない者が見張りなら桃の木に上がることなんてできないだろうから」
王様が宮殿に戻っていく姿を見た途端、足を使えない者がこう言いました。
「おい、お前さん。あの桃を捕って食べよう!」
目が見えない者はこう言いました。
「俺も、あの欲張りの王様をこらしめたいけど私たちがどうやって桃を捕るんだい?」
「俺にいい考えがある!」
足を使えない者はニッコリ笑ってこう言いました。
真っ暗な夜になると、2人の見張りは桃を捕り始めました。
足を使えない見張りが、前を見えない見張りの肩に登ってこう言いました。
「そうそう、もうちょっと右かな」
こうやって2人の見張りは籠いっぱいの桃を捕ることができました。
そしてお腹いっぱいになるまで桃を堪能しました。
次の日に、王様が桃の数を数えに来ました。
「あれ?おかしいな、、80個あるはずなのに60個しかないじゃないか!」
怒った顔で見張りをにらみつけたが、二人は堂々とこう答えました。
「この足でどうやって桃を捕ることができるでしょうか?」
「前が見えない私がどうやって桃を捕ることができるでしょうか?」
「じゃあ、一体誰が桃を捕ったんだ?」
王様は家来にこう命じました。
「もう誰も信じることができないから、残りの桃を全部私の部屋に持っていけ!」
欲張りな王様を懲らしめた見張り達を民たちは称賛しました。
二人はその後も助け合って過ごすことにしました。
さて、数日後まで王様は桃を大事にとっておきましたが、段々と桃は王様の部屋の中で腐り始め、結局一つも食べることができませんでした。
好きなものをずっと残しておくと食べ忘れることがあるなと思った。食べたいときに食べたほうが幸せだなと思う。ぎりぎりまで残しておこうとしても、賞味期限が切れたり、どこにしまったか忘れてしまったりするからな。