内容
ある所に住んでいた1人の男のもとへ、王様の家来が突然訪れました。そうして男にこう言いました。
「王様がお前を宮殿に連れてくるように、と命じられた。」
男は恐れおののきました。
「王様がなぜ私を宮殿に呼んでいるのでしょうか?」
「それは私もわからない。しかし王様の命令には無条件に従いなさい。」
家来はそう言い残して去っていきました。男は心配になってきました。
「1人では怖くて行けそうにない。友だちに一緒に行ってくれるように頼んでみよう。」
この男には3人の友だちがいました。男は1番大切に思っている1人目の友だちのもとへ向かいました。この友だちなら男の頼みを何でも聞いてくれると思ったからです。
「友よ!今から王様に呼ばれて宮殿に行かなくてはならなくなった。君は私の最も親しい友人だから一緒に行ってくれないだろうか?」
「私は一緒には行けないよ。王様がもし君に罰でも下すなら、一緒にいる私にも悪いことが起こるかもしれない。」
1人目の友だちはこう断りました。男はしょうがなく2人目の友だちの家に向かいました。ところが2人目の友だちはこう答えました。
「そうだな~、君が王様から褒美を受けるのか、罰を受けるのかわからないから、私は宮殿の前まで一緒に行ってあげよう。」
男は2人目の友だちの言葉に失望しました。男は信じていた2人の友人から断られたことで落ち込みました。最後に訪問したのは、あまり期待していなかった友だちでした。3人目の友だちは快く迎えてくれました。
「どうしたんだい?何かあったのか?元気がないじゃないか!」
男はこの友だちに今までのことを全部話しました、そうすると3人目の友だちは男の手をとってこう言いました。
「心配するな。あなたは善良な人だから、王様が罰を下すはずがないだろう。もしもあなたが罪を犯していたとしても、私が許してくださるように一緒に頼んであげましょう。」
そしてこの友だちは宮殿に一緒に向かう準備をしてくれました。
男はその姿を見ながら「彼こそ本当の友だちだったんだ」と思いました。
それぞれが象徴しているもの
1人目は財産。お金を持ってお墓に入ることはできない。
2人目は親戚。親戚はお墓までは一緒に入ってくれるがその後は別れる。
3人目は善なる行い。
自分の友人だったらどうだろうと考えてしまう。