内容
鳥が1羽、絶海の孤島に巣をつくった。鳥はたまごを3つ抱いてあたため、やがて3羽のヒナがかえった。
しばらくすると高潮になり、波が島に押し寄せてきた。このままでは、ヒナのいる巣があぶない。ヒナを安全な場所につれていこうと、鳥はきめた。
鳥はまず、最初にかえったヒナを背にのせて飛びたった。飛びながら、鳥はヒナに聞いた。
「わが子よ、おまえには、父さんが若くて元気に見えるだろうね。おまえはまだ幼くてか弱いから、父さんが背中にのせているんだよ。いつか、父さんは年をとって衰える。そのころには、おまえは若々しくて頑丈になっているだろう。そうなったら、父さんを背中にのせてくれるかね?」
「うん、父さん、もちろんだよ」最初にかえったヒナはいった。
「おまえは噓つきだ!」鳥はそう叫ぶと、ヒナを海にふり落とした。
鳥は島にもどると、2番目にかえったヒナを背にのせた。2番目のヒナにも同じ質問をすると、同じような答えが返ってきた。
「うん、父さん、もちろん!」
2番目のヒナも、海にふり落とされた。
鳥はまた島にもどって、3番目にかえったヒナを背にのせた。そして、飛びながら同じようにたずねた。
「ほんとのことをいうんだよ、息子よ。父さんは、いまは若くて元気だ。おまえはまだ小さくて幼いから、父さんが背中にのせて運んでいる。いずれ、父さんは年をとって弱くなるが、おまえは若々しい元気な時期をむかえる。そうなったら、父さんを背中にのせてくれるかい?」
3番目のヒナはいった。
「父さん、父さんが年とって、ぼくが若くて元気だとしたら、きっと、ぼくには子どもがいるんだろうね。となると、ぼくはまず、そのヒナたちを背中にのせて運ばなくちゃならない」
「そう、そのとおりだ。息子よ、ほんとのことをいったね」鳥はそういうと、3番目のヒナを安全な場所に運んでいった。
お母さん鳥とヒナの話を読んだことがあったけど、また答え方がちょっと違うバージョンで、お父さんが運ぶもの。どちらにしても教わったことを子どもにしてあげることが大事という教え。